陶房かまなりやは若林和正・りえ子の陶磁器工房です。1989年(平成元年)横浜に開設しました。 |
『かまなりや』は若林家の眠っていた屋号です。何代か前に味噌屋を営んでいた先祖が仕込みの |
最中に釜が音を立てて鳴ったのを縁起が良いとしてつけたそうです。窯鳴りは、焼き物でもおこる |
現象で、釜と窯の違いはあれ何かの縁と思い、工房名にしました。 |
|
横浜には焼き物に適した土は少なく掘り出すにも厳しい環境です。また、地場産業として古くから |
続いている伝統の窯場・窯元はありません。けれども、横浜をはじめ神奈川県には多くの魅力的な |
個人作家が窯を築いて活躍した歴史があります。明治の頃には宮川香山(みやがわこうざん)とい |
う名工が横浜真葛焼(よこはままくずやき)という輸出用の陶磁器を焼いていましたし、昭和時代に |
は北大路魯山人(きたおおじろさんじん)が鎌倉に窯を持って活動していました。現在でも現代陶器 |
を焼く個人作家が多く神奈川に窯を築いています。 |
|
そういった土地で私たちは日本各地の特色ある陶材と向き合い、自分たちの美意識と制作理路を |
優先して創作陶器を焼いています。料理にたとえれば、郷土料理というよりは創作日本料理という |
感じです。主に使用しているのは、滋賀県信楽町の土ですが、その他の地域の物も持ち味を吟味 |
しながらこだわりなく使っています。陶芸材料店に行くときは、まるで市場に仕入れに行く板前さん |
のような気分です。 |
|
焼き物づくりは、土・石・水・木・火といったたくさんの自然素材とかかわることのできる工芸です。 |
そして長い時間をかけて研究・製作するのにふさわしい奥の深い芸道です。 |
|
私たちは日々四季の変化に心動かされながら横浜で暮らし、どのようにすれば美しく、五感に快い |
焼き物を作ることができるのかを問い返しています。 |
|